代表挨拶|株式会社アミンファーマ研究所

社長挨拶

株式会社アミンファーマ研究所 代表取締役社長五十嵐一衛(千葉大学名誉教授)
出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO

 日本はこれから間違いなく超高齢化社会を迎えます。そうなりますと、高齢者の健康維持が非常に重要な問題となってきます。高齢者の三大疾病は、癌、心筋梗塞、脳卒中(脳梗塞及び脳出血)であり、この中で、細胞障害に依りおこる病気は、心筋梗塞と脳卒中であります。

 細胞障害は、“活性酸素”[スーパーオキシド(O2-)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシラジカル(•OH)等]によりおこると考えられていました。ところが、私共が実験を行ったところ、細胞増殖必須因子ポリアミン(プトレスシン、スペルミジン、スペルミン)より産生されるアクロレイン(CH2=CH-CHO)の方が、活性酸素よりも10倍程毒性が強い事を見出しました。

 三大疾病のうちの脳卒中は、小さい無症候性の脳梗塞が見つかりますと、7年後の脳卒中発症率が10倍上昇すると報告されています。これ迄、小さい無症候性の脳梗塞を見つけることができる血中バイオマーカーは存在しませんでしたので、私共は無症候性脳梗塞を見つけるのにアクロレインが役立つのではないかと考え、研究を行いました。その結果、血漿中のタンパク質に抱合したアクロレイン(PC-Acro)と、インターロイキン-6(IL-6)及びC反応性タンパク質(CRP)を測定することで、約85%の精度で無症候性脳梗塞を見つける事に成功し、「脳梗塞リスク評価」事業を開始いたしました。

 事業化から12年、お陰様で多くの方々にご利用いただいております。当初より採用いただいている千葉県の健康保険組合では、その後の脳梗塞発症者が約1/3に減少するなど高齢者のQuality of Life(QOL)維持と医療費削減に大きく貢献し、とても喜ばれております。

 今後は、血液より採取が簡単な尿を用いた「脳梗塞・認知症リスク評価」の事業展開と共に、脳梗塞・認知症の予防薬の開発を目指していきます。

代表取締役社長 五十嵐 一衛